Covid-19 こころのサポートWEB研修・情報交換会報告第1報(第1部中国から学ぶ)



1部  中国から学ぶ


講師;伍芳辉先生(伍芳輝先生)

北京教育学院副教授・中国教育学会学校教育心理学分野常務理事。

北京市教育学会教育心理専門研究会事務局長。

長期にわたって小中学校の校長と教員の研修に従事。


演題「中日交流;ともに感染症に向き合い心を守っていく」

1.状況

北京2020年度学年の冬休みは、1月17日—2月16日でした。1月23日に武漢市が封鎖され、感染症が広がったのは、冬休み中だったので、新学期が延期されました。


2.第一段階 冬休み中

子どもの健康に注目し、毎日担任先生が学生の外出状況と健康状況を確認しました。

いろいろなルートを通して感染症対策の知識について伝達し、感染症拡大の状況について分析し、対策を練りました。学生にはWEB・ネットを使い授業、ワーク、生活指導を提供しました。心理専門家を集めて教育資料を執筆し、心のサポートについての知識を普及しました。中国教育学会学校教育心理学分野の専門家が執筆した文章は公明社「教育家雑誌」に掲載されました。私は、小中学校心理健康教師と担任がどのように心のサポートをするについて執筆しました。

危機介入に関する研修と危機介入ホットラインを開設しました。

小中学校心理健康教育教師が徐々に学校の感染症対処の仕事に関与し始めました。

学校内の感染症対処の案を作り、ホットライン、オンラインカウンセリング、テレビ番組により心のサポート知識を伝達しました。

心のサポート配信授業を作成し、各区は各自の地域の特徴に応じた心のサポートを展開しました。

教師はクラスのWechatグループをつくりました。

心理健康教育教師と担任のニーズを調査しました。

北京市教育委員会基礎教育第1課の委託を受け、「北京市小中学校児童生徒への感染症に対する心のサポートハンドブック」(注1)、「北京市小中学校教師の感染症に対する心のサポートガイドライン」、「北京市小中学校心理健康教育教師感染症に対する心のサポートと専門サポートハンドブック」、「北京市小中学校担任先生感染症に対する心のサポートと専門サポートハンドブック」を作成しました。

同時に小中学校のオンラインカウンセリングをすることを準備しました。


3.第二段階 新学期延期

名物校長、名物教員のメッセージをテレビ、インターネットの「Sky Lesson」を通して、授業とワークを提供しました。

子どもは「休校するが、休学しない」という方針で自宅学習をしました。

教師はネットを通して学生の学習を促進し、心理健康教師は順次に心のサポート配信授業とネット資源を提供しました。

各区は教員、学生、保護者を対象にホットラインとオンラインカウンセリングを提供しています。

北京教育学院と北京市教育学会教育心理専門研究会は、1週間をかけて、「北京小中学校教員と学生向けの心のサポートガイドライン」(教員編、学生編)を北京市小中学校デジタル徳育サイトと北京デジタル学校发布に公開し、 「北京市小中学校心理健康教育教師感染症に対する心のケアと専門サポートハンドブック」、「北京市小中学校担任先生感染症に対する心のケアと専門サポートハンドブック」のダウンロード先をメールで配布しました。

教育研究員と心理健康教育教師を対象にボランティアを募集し、応募した189名から105名のカウンセラーと22名のスーパーバイザーを採用し、研修を経てホットラインとオンラインカウンセリングを担当してもらっています。

心のサポートの仕事の原則

  • 全体の原則

  • 人を中心に考える、ニーズに応じる、科学的な支援、資源を統合する


4.心のサポート実施原則

1)対応原則

安全感を促進し、安定化を促進し、効力感を強化し、つながりを強化し、希望を与えます。これは、危機介入の原理と同じです。(注2)


2)仕事のポイントは、

  • ①全体に対して:知識普及、対処方法を提供

  • ②困難を抱えている集団に対して:短期焦点解決のスタイル、積極的な受容、情緒を安定させる、今のニーズに注目、実務へのコンサル、社会サポート資源と連携、他の資源を提供

  • ③ハイリスク集団:危機介入のプロセスに沿って対応


3)児童生徒の状態

大多数は正常状態です。

早期には特定の心理ストレス反応がみられました。

  • 情緒:パニック、不安、悲嘆、怒り

  • 認知:情報過剰、認知面の葛藤、認知バイアス

  • 行動:過剰に払拭、消毒、繰り返し体温を測る、睡眠不規則、立っても座っていられない

  • 身体:めまい、呼吸困難、胃腸不快感、全身の痛み

学期が延期になった後に二極分化し、大多数の学生が情緒安定、妥当な行動を保っています。一部の児童生徒は心理ストレス反応が強く持続しています。自己管理が困難で、親子喧嘩が増加しています。個別の児童生徒は、もともと抱えている心理の問題と他の問題が増悪しています。


4)心理健康教育教師への助言

自分のことを大事に、セルフケアできることが大切です。主体的に関与し、感染症に対する心のサポートに専門性を発揮し、寄り添い、児童生徒の心を守りましょう。心理健康教師の専門性を発揮して、教師らをサポートしましょう。仲間を作って、一緒に協力しあっていきましょう。


注1)「北京市小中学校児童生徒への感染症に対する心のサポートハンドブック」は、感染症に対する科学的理解を深め、デマにまどわされずに正しくストレス対処できるように、自分の感情に気づき感情をマネジメントできるように、家では時間を管理するなどセルフマネジメントのアドバイスが記載されているようです。現在、伍先生の了解をえて、本学会からの依頼で、某団体が無償で翻訳にとりかかってくださいっています。


注2)この原則は、Psychological First AidのベースになったHobfoll, S.E., Watson, P., Bell, C.C., Bryant, R.A., Brymer, M.J., Friedman, M.J., & Ursano, R.J. (2007). “Five essential elements of immediate and mid-term mass trauma intervention: empirical evidence”, Psychiatry, 70(4), 283-315.のマストラウマ介入の5つの本質的要素(These are promoting: 1) a sense of safety, 2) calming, 3) a sense of self- and community efficacy, 4) connectedness, and 5) hope.)だと考えられます。


参加者からの質問

Q1児童生徒向けや教師向けのハンドブックを教師はどのように受けとめたのですか?

A1各区のホームページからダウンロードできるようにしましたので、全ての教師の感想を聴いていませんが、大変好評、ハンドブックは大変助かった。これをもとに、通信や授業を作っていったという情報がはいってきています。


Q2感染症者に対する差別・他者への恐れはどうだったでしょうか?

A2情報が不十分な時期はありました。情報が正確になっていくにつれて少しずつ改善していきました。


Q3日本は今休校になっています。学校再開のときにどんなことに気をつけたらいいでしょうか?

A3児童生徒にこれまでのことをふりかえり、どういうことを考えたか、分かち合うといいです。そして、命の大切さについて学ぶ機会にするといいと思います。


Q4中国には養護教諭はいますか?道徳教師は?スクールカウンセラーは?

A4大きな学校には学校医がいますが、保健教師はいません。心理健康教師の多くは道徳教師を心理健康授業ができるようにトレーニングしていきました。心理健康教師がさらに研修をつんでスクールカウンセラーを務めています。


記録者の感想

記録は不完全なところがあると思います。随時訂正していくかもしれないことをお断りしておきます。

四川大地震の2週間後に、日本心理臨床学会は心理支援チームを派遣し、中国心理専門家・大学院生に研修をしました。私たちは阪神淡路大震災以降の災害後の心のケアの理論と方法、そしてストレスマネジメントによる心理健康教育の大切さを伝えました。


中国は2003年に道徳とは別に、インターネット依存と不登校対策に「心理健康科目」を立ち上げていたそうですが、実質展開されていなかったようです。しかし、四川省がすぐに「心理健康授業」を小1から週に1コマの必修にしました。中国科学院心理研究所を中心に心理健康授業ができるように道徳教師を訓練したそうです。


いじめ・自殺防止に道徳を教科化した日本とのちがいが今回の子どもの心のサポートの違いに表れていると思います。しかし、日本も少しの教育改革で、子どもたちをサポートするシステムを強固に構築できると思います。養護教諭とスクールカウンセラーのタッグが心理健康教師の機能を果たすことができると思います。また、道徳の時間の年間35コマを「心の教育」とし、道徳25コマ、心の健康10コマに、再編成するのです。道徳授業のなかに心の健康をいれることは、子どもたちに混乱を引き起こします。支える学問が異なるからです。この危機を日本の子どもたちの真の幸せにつなげるには国民ひとりひとりが何をすればいいか問われているのだと思います。


495回の閲覧

ABOUT US >

本会は、アジア各国からの実践活動報告,被災者の発表,基礎研究発表、さらに各国・地域独自のトラウマ治療理論や危機介入技術の紹介などを通して、アジアにマッチした「災害後のこころのケア」を創造していく学術団体です。

The Society provides “care after the disaster” that matches Asia, through reports on practical activities from Asian countries, presentations of victims, presentations of basic research, and introduction of country-specific trauma treatment theory and crisis intervention techniques. It is an academic organization that creates.

最新情報をメールでお知らせします。

メールアドレスの登録はこちらへ

Subscribe to Our Newsletter

CONTACT >

各種お申し込みはこちらから

2018asdt@gmail.com

© 2019 by Make A Change.
Proudly created with ASDT